寝台車タイプは平均1120万円、100床未満施設の保有率は11.5%
日本医事新報社の発表・報道によると、日本病院会(相澤孝夫会長)は2026年9月15日、病院が所有する患者搬送用の救急車(病院救急車)の普及促進を求める提言を厚生労働相宛てに提出した。佐々木昌弘医政局長に直接手交する形で行われた。
提言の背景にあるのは、高齢化に伴う在宅高齢患者の急変時や転院時などの搬送需要の増加だ。日病の調査では、寝台車タイプの病院救急車は車両本体価格が平均1120万円(中央値800万円)に達する一方、100床未満の施設の保有率は11.5%にとどまっている。現行の診療報酬では車両の購入・装備・維持・更新が困難な状況にあるとして、診療報酬の見直しと補助金による支援を求めた。また、消防救急車の更新時に車両を病院へ譲渡する仕組みの導入も要望に盛り込まれた。
安全管理体制の整備とDXを活用した共同運用が課題
安全管理体制については、安全運転に関する指導者を配置している施設が34.2%、事故発生時の対応マニュアルを整備している施設が48.5%にとどまることが日病の調査で明らかになった。提言では、安全走行・患者安全に関する指針の作成と、それに基づく研修実施への財政支援を求めている。
さらに、費用面での限界から単独保有が難しい中小規模・療養型病院を念頭に、複数の医療機関による共同運用の普及も提案された。DXを活用した搬送予約システムの開発・普及支援により、地域全体の患者搬送を効率化する仕組みの構築を求めている。提言の要望は①車両購入・維持管理への支援、②安全な運営に向けた支援、③共同利用の普及支援、④介護との連携支援─の4項目に整理されている。
施設経営・地域連携への示唆
今回の提言は、病院救急車を「個々の病院の設備」としてではなく、地域の搬送インフラとして位置づけ直す視点を含んでいる点が注目される。診療報酬や補助金の具体的な制度設計は今後の議論次第だが、中小・療養型病院の経営者にとっては共同運用スキームの動向が実務上の関心事になりそうだ。介護事業者との連携支援も要望に含まれており、医療・介護の双方にまたがる搬送体制の整備が議論の俎上に上がっていることは、介護施設側にとっても無関係ではない。