外食業界の特定技能1号、新規受け入れが停止に
TBS NEWS DIGの報道によると、深刻な人手不足が続く外食業界において、外国人労働者の在留資格「特定技能1号」の新規受け入れが停止される事態となっています。特定技能1号とは、特定の産業分野で即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格で、近年、人手不足に悩む飲食・外食業界を中心に活用が広がってきた制度です。
人手が足りないにもかかわらず新規受け入れが止まるという、一見矛盾したこの状況は、現場に少なくない混乱をもたらしています。報道では、外食業界だけでなく、病院や介護施設の調理現場にも影響が出ていることが伝えられています。ある現場からは「1人に1.5倍の力で働いてもらっている」という切実な声も紹介されており、外国人スタッフへの依存度の高さと、受け入れ停止による負担増が浮き彫りになっています。
医療・介護の調理現場が直面するリスク
医療機関や介護施設における調理部門は、入院患者や入居者の食事提供という、日常的かつ欠かせない業務を担っています。外食業界と同様に人材確保が難しいこれらの現場でも、特定技能1号をはじめとする外国人労働者が即戦力として活躍してきた経緯があります。
今回の新規受け入れ停止により、既存のスタッフへの業務集中が一層進む可能性があります。「1人1.5倍」という表現が示すように、現場では既にギリギリの体制で運営が維持されているケースも少なくないとみられます。採用計画の見直しや、既存スタッフの離職リスク上昇といった二次的な影響も懸念されるところです。
【編集部の見解】制度変更に備えた人材戦略の見直しを
今回の報道は、外国人労働者の受け入れ制度が行政の判断によって突然変わり得るリスクを、改めて示しているといえるのではないでしょうか。医療・介護施設の経営者や人事担当者にとっては、特定の在留資格に依存した採用計画の脆弱性を再点検する機会になり得ます。
一般に、外国人労働者の受け入れには在留資格ごとに業務範囲や手続きが異なるため、複数の受け入れルートを把握しておくことが重要と言われています。特定技能以外にも、技能実習制度の後継として整備が進む「育成就労」制度など、制度の動向を継続的に確認しておくとよいでしょう。
また、外国人・日本人を問わず、現場スタッフが「1人で1.5倍働く」状態が常態化しないよう、働く環境の整備や業務の効率化を図ることが、離職防止や安定的なサービス提供につながるという見方もできます。制度の変化を「外部要因」と割り切らず、自施設の人材戦略全体を見直すきっかけとして捉えてみてはいかがでしょうか。