新サービスの人員・運営基準案

社会保険研究所の発表・報道によると、厚生労働省は10月28日の第272回社会保障審議会介護給付費分科会で、令和9年度介護報酬改定に向けた議論を行いました。登録制となる有料老人ホーム(2027年12月施行の登録有料老人ホーム)の入居者向けに創設する「登録施設介護支援」「登録施設介護予防支援」について、人員・運営基準と報酬の方向性が示されています。

背景として示された調査では、ホーム併設の居宅介護支援事業所でケアプランが画一的になりやすいこと、ホーム職員との情報共有に課題があることが挙げられました。入居者の地域との関わりについても、「ほとんどつながりがない」「あまりない」の回答が合計で約半数でした。併設以外のケアマネジャーへの調査では、地域との関わりへの支援を「特に何もしていない」が55.9%でした。

人員基準案では、居宅介護支援と同様にケアマネジャーを置き、新たに「地域生活相談員」を配置します。ケアマネジャーとの兼務は可能で、既存の居宅介護支援事業所と併せて提供する場合は人員を一体的に扱う案です。別途配置する場合の資格は、ケアマネジャーのほか社会福祉主事等とし、管理者は居宅介護支援の基準に準じます。介護予防支援側も同様の考え方です。

地域生活相談では、成年後見制度や高齢者等終身サポート事業などの地域資源の情報整理、地域行事やボランティアの情報提供、参加支援、外出が難しい人への移動手段の調整、ホームとの連絡調整などが想定されています。運営基準は原則として居宅介護支援等に準じ、ホームとの連携や、地域生活相談の計画への位置付けと記録などを定める案です。

報酬案と逓減制をめぐる議論

報酬は居宅介護支援等と同様の枠組みを基本に、集合住宅であることと地域生活相談という新業務を踏まえた水準とする考えです。逓減制(利用者数が一定を超えた部分に低い単価を適用する仕組み)については、既存の居宅介護支援と登録施設介護支援の利用者数を合算して判断する案が出されました。登録施設介護支援は利用者負担が生じるため、低い単価を利用者全体に分散して適用する案も示されています。

これに対し、日本医師会の江澤和彦委員は、逓減制を入れるか自体を議論すべきだとし、合算や分散適用に明確に反対しました。日本慢性期医療協会の田中志子委員は、入退居による人数変動のたびに計算が必要となれば現場の混乱や請求誤りにつながると指摘しました。連合の平山春樹委員は、適切な報酬が確保できなければ外部事業所が提供を控え、選択肢や独立性が損なわれる恐れがあるとしました。

業務面では、既存職員の兼務や時間外労働に頼らない人員配置と報酬を求める声や、併設事業所と複数ホームを訪問する外部事業所の実態差を考慮すべきとの意見が出ました。ホーム生活相談員との違いが分かりにくいとの指摘もあります。厚労省は、兼務の有無で基本報酬に差を設けることは現時点で想定せず、逓減制の利用者数の扱いは引き続き検討するとしています。

事業所にとっての含意

以下は編集部の見立てです。居宅介護支援事業所が登録施設介護支援を併せて担う場合、合算方式か否かで逓減制の適用ラインが変わり、収支に直結します。ホームと連携する事業所の管理者は、今後の議論で利用者数の扱いが確定するまでは、地域生活相談員を兼務で回せる体制か、別途配置が必要かを人員面から試算しておく必要があります。