1巡目の整理と、2巡目で問われること
介護ニュースJointの発表・報道によると、9月30日の社会保障審議会・介護給付費分科会で、来年度の介護報酬改定に向けた「基本的な視点(案)」が示されました。1巡目の審議を整理し、今後の議論の土台とする資料です。今後は2巡目に入り、各サービスについてより具体的な見直しの方向が示されていきます。同記事は、事業者にとって期待できる内容がある一方、慎重に見るべき内容も少なくないと指摘しています。
期待される2つの点
1点目は、物価と賃金の上昇への対応が第1の視点に位置付けられたことです。「事業者の経営の安定を図る」「他職種と遜色のない処遇改善を実現する」という考え方が記されました。
2点目は、ケアの成果を評価する姿勢です。利用者の状態の維持・改善や生活の質の向上につながる質の高い介護を推進し、その成果を適切に評価するとされ、LIFE(介護の科学的データを集めて活用する仕組み)の一層の活用も挙げられました。記事は、データ提出や加算算定に関心が集まりがちだったが、本来はデータを日々のケアに活かすことが大切だと述べています。なお、来年度改定で本格的なアウトカム評価(成功報酬)の導入が決まったわけではありません。
慎重に見るべき点
一つは評価の適正化・重点化です。限られた財源の有効活用のため、報酬体系の整理・簡素化を進めるとされ、その際に「サービス提供の実態」「利用者の状態像」「地域の状況」などを踏まえるとしています。記事は、同じサービスでも提供の場所や利用者、形によって評価が変わりうるとし、訪問介護で高齢者向け住まいへの集中的な提供と、地域の利用者宅を一軒ずつ回る形をどう評価するかを例に挙げています。整理・簡素化の対象は未定です。
もう一つは中山間・人口減少地域です。来年4月施行の「特定地域サービス」が注目される中、案には「中山間地域の加算のあり方の見直し」も明記されました。訪問介護、訪問看護、居宅介護支援などにある既存加算との整理の方向は明らかになっていません。
生産性向上については、AIなどの介護テクノロジー活用や介護助手らへのタスクシフト・シェアを、施設系だけでなく居宅系サービスも含めて進める方向が示されました。生み出した時間を直接的なケアに充て、質の確保・向上につなげるとされています。
編集部の見立て
以下は編集部の見立てです。中山間地域の加算に収入を支えられている訪問系・居宅介護支援の事業所は、2巡目で示される加算と特定地域サービスの整理案を優先して確認し、自事業所の加算収入への影響を試算しておく必要があります。また、高齢者向け住まいへの集中提供が中心の訪問介護事業所は、提供形態ごとの評価の違いが論点になりうるため、利用者の居住場所別の件数や状態像を把握しておくと、案が出た際に影響を判断しやすくなります。