全国老施協が厚労省老健局長に要望書を提出
老施協デジタルの発表・報道によると、全国老施協(会長:大山知子)は令和8年10月8日、「令和9年度介護報酬改定に向けた要望・各論」を厚生労働省の熊木正人老健局長宛に提出しました。
大山会長は、特養の令和7年度決算で赤字施設の割合が55.8%と半数を超えていること、介護事業の休止・廃止・廃業が急増していることを挙げ、インフレ下の厳しい現状を伝えました。そのうえで「賃金・物価への対応とともに、経営原資を確保するために基本報酬の大幅な底上げが必要」と訴えています。
これに対し熊木老健局長は、経営原資を確保する必要性に理解を示し、「現場の状況を数字で把握して、介護報酬改定に向けて全力で交渉に臨んでいきたい」と答えました。
重点事項は4項目
重点事項として挙げられたのは、基本報酬の大胆な底上げ、他産業と遜色のない処遇改善の実現、食費・居住費に係る基準費用額の見直し、地域区分の見直しです。
各論要望の主な内容
特別養護老人ホームでは、重度者への対応のさらなる評価と、経過的小規模介護老人福祉施設の基本報酬への対応を求めています。通所介護と訪問介護では、実態に即した送迎の評価、特別地域加算の通所介護への適用、急激な利用者増への対応と大規模減算、入浴介助加算における中重度対応の評価、訪問介護の地域差・規模別評価の導入と同一建物減算を挙げています。
人口減少やサービス需要の変化に応じた提供体制の構築としては、配置基準の「常勤専従1」を「常勤換算1」へ緩和することを求めました。あわせて、やむを得ない事情による人員欠如の特例的な取扱いの見直し、看護師の常勤配置や看護職員の加配を求める加算要件の緩和も盛り込まれています。
生産性向上では、導入支援に加えランニングコストへの支援、生産性向上推進体制加算の単位数と算定要件の見直しを要望しました。医療と介護の連携では、協力医療機関との連携体制構築に向けた継続的な支援、義務付けに係る経過措置の延長と代替手段の検討、養護老人ホームの義務化要件を軽費老人ホームと同様の取扱いにする見直しを求めています。さらに、養護老人ホームおよび軽費老人ホーム・ケアハウスへの財政支援も要望項目です。
現場への含意(編集部の見立て)
老健局長が「現場の状況を数字で把握」と述べている点から、各施設の決算や人員状況が今後の交渉材料として問われる可能性があります。特養や通所・訪問介護の経営者は、自施設の収支、送迎や人員配置にかかるコスト、協力医療機関との連携状況を、団体の調査に回答できる形で整理しておくと、要望の根拠づくりに役立ちます。