改定後の収益動向——高度急性期は改善、外来はやや悪化
blog.hckn.workの発表・報道によると、令和8年度診療報酬改定が始まって以降、地域の医療提供体制に変化の兆しが見え始めているという。入院収益については、高度急性期機能を持つ病院では改善傾向が確認される一方、その他の機能を担う病院では下げ止まりにとどまっている状況だ。外来収益については、病院・診療所ともにやや悪化している印象が報告されている。
実際の患者の明細書データを用いた点数推移の検証では、外来診療料・物価対応料・ベースアップ評価料の新設・引き上げにより合計8点の増加が確認された一方、検査判断料の算定が消えるなど細かな変動もあった。調剤については、物価対応料・調剤ベースアップ評価料の新設や調剤基本料の引き上げがあったものの、後発医薬品使用体制加算と地域支援体制加算が「地域支援・医薬品供給対応加算」へ統合されたことや医療DX関連の報酬見直しが影響し、若干の減収となったと報告されている。
患者負担面では、後発医薬品のある長期収載品の選定療養が2分の1負担となり、来年3月からは一部保険外療養も始まる予定とされている。高齢者の自己負担割合の見直し議論や将来的な保険料率引き上げの可能性も踏まえると、受診頻度の緩やかな低下は避けられないとみられる。
病院・診療所・薬局それぞれに求められる「量質転化」
同報告では、今後の外来医療の経営戦略として、患者数×低診療単価から患者数×高診療単価への「量質転化」という方向性が示されている。具体的には、かかりつけ医機能報告で対応可能領域を明示し、新設された特定機能病院等紹介患者受入加算や連携強化診療情報提供料を活用した患者獲得ルートの確保が重要だとされる。リフィル処方・長期処方については、患者の要望に応える際も医師が検査データ等をもとに可否を判断するプロセスが不可欠で、外来減算規定の対象病院では紹介・逆紹介が難しい安定患者へ積極的に促すことが求められると指摘されている。
薬局については、地域支援・医薬品供給対応加算を維持するためにも、対人業務の比重を高めること、店舗統合による1店舗あたりの薬剤師数の増加、服薬フォローアップや在宅対応環境の整備が中長期的に必要だとされている。セルフメディケーション機器を店舗に「ただ置く」だけでなく、記録・相談対応の環境を整備して選ばれ続ける取り組みが求められる。
新たな地域医療構想——急性期再編と精神医療も射程に
新設された急性期病院A・B一般入院料は、クリティカルな急性期医療や地域・専門領域特化の中小規模急性期医療をそれぞれ評価する設計とされており、医療機関機能報告との整合が図られている。都市部の構想区域ではほとんどの病院が急性期病院一般入院料を届け出ており、診療実績や高額医療機器の有無による役割分担の整理が課題になると報告されている。
新たな地域医療構想は精神医療も含めて策定される方向で、令和9年10月からは精神病院にも医療機関機能報告が始まる予定とされている。身体疾患を持つ精神疾患患者の集中治療後の受け入れ体制不足が課題として挙げられており、令和8年度改定では一般医科のICUから精神病院の救急急性期入院料等への連携要件が緩和されたと報告されている。
編集部の見立てでは、病院・診療所・薬局のいずれも「自院単独の経営努力には限界がある」という認識のもと、地域医療構想調整会議での自院の立ち位置の明確な表明と、平時からの連携構築が今後の経営の分岐点になりそうだ。療養病棟については、在宅復帰率の向上や医療的ケア児・高医療依存度患者の受け入れ対応も含め、早期の方向性の決断が求められる局面に入っている。