何が問題だったのか——不正受給の二つのパターン
TBS NEWS DIGの発表・報道によると、長崎県内のある医療法人が、実際には介護サービスを提供していない時間帯に対して介護報酬を請求していたこと、さらに病院への送迎を行った際にも本来は算定できない介護報酬を請求していたことが明らかになりました。これら二つの不正な請求によって、合計約500万円が不正に受給されたと認定され、長崎県は当該法人に対して行政処分を下しました。
介護報酬とは、介護保険制度に基づいてサービス事業者が国や自治体から受け取る報酬のことです。サービスの種類や提供時間、利用者の要介護度などに応じて単位数が定められており、実際に提供したサービスの実績に基づいて請求するのが原則です。今回のケースは、この「実績」を偽った点が問題の核心です。
行政処分が意味すること——事業者が受けるペナルティの重さ
介護保険法に基づく不正請求が認定された場合、都道府県は事業者に対してさまざまな行政処分を科すことができます。主なものとしては、不正受給額の返還命令に加えて、その40%相当の加算金(いわゆる「割増返還」)の徴収、事業所の指定効力停止、さらには指定の取り消しが挙げられます。指定取り消しは事実上の事業廃止を意味するため、法人経営に与えるダメージは計り知れません。
また、不正請求は民事・刑事上の責任にも発展し得ます。管理者や請求担当者が個人として責任を問われるケースもあるため、「法人の問題」として他人事にはできない深刻な問題です。今回の処分内容の詳細(指定停止期間など)については元記事の続報を確認することをお勧めします。
現場への影響と、今すぐできる備え
今回の事案が示す教訓は、介護報酬の請求業務における内部チェック体制の重要性です。サービス提供記録(いわゆる「サービス記録」)と実際の請求内容が一致しているか、定期的に照合する仕組みが整っているかどうかを、現場の管理者は今一度確認する必要があります。
特に注意が必要なのは、「算定できると思っていた」という担当者の思い込みによるグレーゾーンの請求です。病院送迎など医療機関との連携場面は、介護報酬と医療保険の適用範囲が複雑に絡み合うため、誰が・どの根拠で・何を算定するのかを明文化したルールを設けることが重要です。
求職者・転職希望者の視点では、就職先の法人が過去に行政処分を受けていないかを確認する手段として、都道府県の介護サービス情報公表システムや処分歴の公開情報を活用することをお勧めします。不正受給による処分歴は法人の信頼性を大きく左右するだけでなく、そこで働くスタッフの雇用安定にも直結するからです。介護・医療の現場で働くすべての人が、報酬請求のルールを「自分ごと」として理解しておくことが、今後ますます求められます。