循環器内科・外科の長時間労働にどう対応するか
GemMedの発表・報道によると、2026年10月29日に「第3回 令和8年度医師の働き方改革の推進等に関する検討会」が開かれました。2024年4月に始まった医師働き方改革は、本格稼働から3年後の2027年度に向けて見直しの議論が続いています。勤務医全体の労働時間は短縮傾向ですが、循環器内科や、消化器外科・心臓血管外科を含む外科では、時間外労働が年960時間を超える医師の割合が依然高いとされました。
厚生労働省は、年960時間超の医師が多い特定労務管理対象機関(B・連携B・C水準の医療機関)や、大学病院、小児・周産期・救急を担う病院に対し、「医師労働時間短縮計画」の作成時に次の点検を求める案を示しました。都道府県の医療勤務環境改善支援センター(勤改センター)が重点的に支援します。
点検項目は、タスクシフト/シェア(他職種への業務移管・分担)など業務分担の見直し、ICT活用による業務効率化、職員の適切な理解に基づく労務管理、健康確保を前提とした研修・修練の環境整備(臨床研修医を含む)です。追加的健康確保措置の実態把握や好事例の横展開も続ける方針で、反対意見は出ませんでした。
学会からの提言と構成員の意見
日本外科学会の武冨紹信理事長は、外科医では働き方改革の効果がまだ十分に現れていないと報告しました。診療看護師(NP)やフィジシャンアシスタントの育成、外科医の適正配置を挙げ、2026年度診療報酬改定で創設された外科医療確保特別加算について、要件緩和や他診療科への拡大も求めています。
日本循環器学会の小林欣夫代表理事は、地方で高齢の急性心筋梗塞患者への急性期カテーテル治療が十分に行えない事態や、勤務間インターバルを確保できない問題を指摘しました。解決策として、特定行為研修修了看護師や心不全療養指導士へのタスクシフト、各職種に認められる医行為の見直し、専攻医の地域医療勤務の推進などを提言しました。
構成員からは、医師の健康状態を主観でなく客観的に把握する仕組みが必要(堤明純氏)、疲れの見える医師への声かけを進めてほしい(濵口欣也氏)、特定行為研修は修了者の評価よりも研修の拡充を重視すべき(馬場武彦氏)、外科医の給与増を充実すべき(森正樹氏)といった意見が出ました。厚労省は、医行為のシフトは医療安全の確保が前提だと指摘しています。
宿日直許可と研鑽の切り分け
宿日直許可を得ていても労働実態が許可基準に合っていない医療機関が疑われており、自主点検を促す必要があるとされました。2019年7月の通知では、宿日直は通常勤務から完全に解放され、特殊な措置を要しない軽度・短時間の業務に限り認められます。夜間の救急搬送が常に多く、通常業務と同様の対応が稀でない場合は認められません。
労働と研鑽の線引きが不明瞭なケースも多く、勤改センターの支援を受けつつ、各医療機関が切り分けルールを作り現場へ周知することが必要とされました。男女問わず多様な働き方を支援する取り組みの継続も挙げられています。論点が増えたため、当初目指した2026年末の取りまとめは後ろ倒しになる可能性があります。
現場への含意(編集部の見立て)
960時間超の医師が多い病院の管理者は、次の時短計画の作成・更新までに、上記4項目の点検を済ませておく必要がありそうです。宿日直許可を持つ施設は、夜間の実際の対応件数と業務内容を記録し、許可基準との整合を自主点検しておくと、指摘への備えになります。研鑽ルールも、院内の文書として明文化しておくことが求められるとみられます。