看護師不足が医療提供体制を直撃――調査が示す深刻な現状

Yahoo!ニュースの発表・報道によると、日本医労連が2026年6月に公表した調査では、回答した134医療機関の75.4%が看護職員の不足を訴えた。その影響として「患者サービスの低下」が83%、「インシデント・アクシデントの発生」が58%、「病棟・稼働病床の休止・削減」が33%に上るとされており、人手不足が医療の質と安全の両面に及んでいることが明らかになっている。

将来の担い手確保にも懸念がある。看護師養成所(専門学校等)の2025年度の定員充足率は79.5%まで低下しており、大学への志願が堅調な一方で養成所への入学者が減少している。また日本看護協会の「2025年看護職員実態調査」では、看護職として働き続けたいと答えた人が62.9%と、前回2021年調査の67.6%から低下した。

現場が抱える労基法上の問題――残業申請から休憩まで

社会保険労務士で保健師・助産師の大友貴子氏が寄稿した同記事では、現場から寄せられる相談内容を具体的に挙げている。「30分残業したくらいで申請しないで」「残業申請は月20時間以内に」と指示されるが実態は30時間超、15分単位の切り捨て運用、時間外や休日の研修が事実上強制されるのに賃金が出ない――といった声が相次いでいるという。

休憩についても「先輩が10〜30分しか休まないため自分だけ1時間は取れない」「休憩中もPHSを持ち、呼ばれれば対応せざるを得ない」といった実態が報告されている。呼ばれたらすぐ対応しなければならない待機時間は「手待時間」であり、法的に休憩とは認められない。にもかかわらず、違法だと気づかない、あるいは「みんなそうだから」と声を上げられない看護師が多く、心身不調による離職につながっているとされる。

管理者側の課題も指摘されている。看護師長ら病棟管理者が労務管理を体系的に学ぶ機会が少ないまま勤務表作成や労務管理を担っており、「昔からこうだった」という慣行が法令違反を温存させているという。

改善に向けて――医療機関・看護師それぞれにできること

記事では、医療機関に対して始業前・終業後・休憩中も含めた実際の働き方の把握と、管理者の労務管理教育の見直しを求めている。各都道府県の「医療勤務環境改善支援センター」への相談も選択肢として挙げられている。一方、看護師自身も出退勤時刻や休憩中の対応を記録しておくこと、解決できない場合は労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できることが示されている。

記事では「賃上げ」「法令遵守」「安心して働ける職場環境」の三つが揃わなければ人材の定着には結びつかないと述べており、労働環境の改善なき賃上げ策は十分でないとする見方が示されている。病棟管理者・経営層にとっては、慣行として続いてきた運用が安全配慮義務違反のリスクを孕む可能性がある点を改めて確認する機会といえる。