「特定技能1号」外食業の新規受け入れ停止とは

TBS NEWS DIGの報道によると、外食業界で就労する在留資格「特定技能1号」(技能試験に合格した外国人に与えられる5年間の就労資格)について、政府が新規受け入れを停止する方針を打ち出したことが明らかになりました。日本全体で人手不足が叫ばれている中で、なぜ受け入れを止めるのか――その背景と、医療・介護業界への影響を整理します。

特定技能1号は、2019年に創設された在留資格で、介護・建設・外食など特定の産業分野において、一定の技能試験と日本語試験に合格した外国人が最長5年間就労できる制度です。外食業は飲食店だけでなく、病院や介護施設の給食・調理部門でも広く活用されてきた分野であり、今回の停止措置はその範囲にも影響を及ぼします。

なぜ受け入れを停止するのか

外食業における特定技能1号の新規受け入れ停止は、受け入れ人数が政府の設定した上限に達したことが主な要因とされています。制度上、分野ごとに受け入れ上限数が設けられており、外食業はその枠を超える勢いで外国人労働者が流入したとみられています。一方で、受け入れ環境の整備や処遇改善が追いついていないとの指摘もあり、政府としては一度立ち止まって制度の運用実態を見直す狙いがあると考えられます。

ただし、すでに在留資格を持って働いている外国人材についてはそのまま就労を継続できます。新規での採用・招へいができなくなるという点が、現場にとっての最大の問題です。

医療・介護の調理現場への影響と今後の備え

今回の措置で特に打撃を受けるのが、病院や介護施設の調理・給食部門です。TBS NEWS DIGの報道では、ある施設の担当者が「1人に1.5倍の力で働いてもらっている」と語るなど、外国人スタッフがすでに現場の中核を担っている実態が浮き彫りになっています。新規採用の道が閉ざされれば、欠員が生じたときに補充ができず、残った日本人・外国人スタッフへの負担がさらに増す悪循環に陥るリスクがあります。

施設経営の観点からは、まず現在在籍している特定技能1号の外国人スタッフの定着率向上が最優先課題となります。給与水準の見直しや、日本語学習支援・キャリアパスの提示など、長く働き続けてもらうための環境整備が急務です。また、特定技能1号とは別に、介護分野に限っては独自の在留資格「介護」や「技能実習」制度が存在しており、調理部門ではなく介護業務全般の人員計画を見直す機会とも捉えられます。

さらに、人材確保の選択肢を広げる意味でも、国内の求職者向けの訴求強化や、調理補助業務における省力化機器・配膳ロボットなどのテクノロジー活用も検討に値します。外食業の特定技能1号停止は、医療・介護業界にとって「他人事」では済まされない制度変更です。採用計画や労務管理の見直しを、今すぐ着手することが求められています。